
<EUと距離の置くイギリス>
本日、イギリスのEU離脱に関する国民投票が今年6月23日に行われることが、ニュースで発表されました。
イギリスはEUの経済圏の中ではフランスと並び、ドイツに次ぐ経済規模で、
もしEUから離脱となると経済的に大きな影響があると言われており、今年の注目されるニュースの一つです。
EUはもともと、ヨーロッパの戦争の火種となる問題を一緒に解決していきましょう、という目的のため、
欧州石炭鉄鋼共同体(既に失効、EUに吸収) という組織が1951年に設立されたことから始まります。
これには後にオリジナル6 (Original six) と言われる、フランス、(西)ドイツ、オランダ、ベルギー、イタリア、ルクセンブルグが参加するわけですが、
イギリスは、設立当初からのメンバーではありませんでした。
また、イギリスでは現在も通貨はポンドを利用しており、ユーロを使用することは出来ませんし、
シェンゲン協定に未加盟のため、EU内の移動であっても、EU国籍であっても、イギリスの国境でパスポートコントロールでのチェックが行われます。
公的には日本と同じメートル法を導入しつつ、マイルもそのまま使われています。重さもポンドがまだまだ一般的です。
そんなEUとは一定の距離を置く国(イギリス)が、EUから離脱してしまうと、
皆さんのビジネスにも大きな影響を与える可能性がありますので、貿易・物流という視点で、ご説明しようと思います。
<イギリスのEU離脱による、日系企業の貿易・物流へのインパクト>
1, これまでEU国内企業同士の域内(Intra-community)取引だったものが、
EUとEU外(イギリス)との貿易になりますので、輸出、輸入という扱いになってしまいます。
ということは、日本からイギリスに輸出した製品がイギリスで輸入通関が行われるのと同じように、
イギリスとEUとの貿易(取引)で行われることになります。
関税に関しても、イギリスが独自で決めることになりますので、EUからイギリスへの輸入貨物として、
関税が設定される可能性が出てきます。また逆に、イギリスの製品がEU内に入る場合にも、EUが関税をかける可能性があります。
これまでは、通関自体が存在せずに、税務申告時にイギリスの企業との取引、という申告でよかったものが、
通関手続き + 関税 が発生する、という意味で大きな変化といえます。
2, EU内に物流拠点を持っている場合、既に輸入済みの在庫となっているかもしれません。
輸入済みということは、既にEU内貨ということになりますので、
その物流センターからイギリス向けに輸出し、イギリスで輸入申告、関税の支払いをしなければいけなくなり、
関税の二重払いの可能性が出てきます。
イギリスにイギリス国内用の物流拠点を別途作ったり、EU内の物流拠点で保税状態で保管する等、
社内で対策が求められることになるでしょう。
3, EUの法律(食品、医薬品、化学品、CE mark等)がイギリスでは適用されなくなり、別途申請手続きが必要になる可能性があります。
例えば、ある食品をEUで輸入し、EU内で販売する際の規制が既にクリアされていても、
その基準ではイギリスでは売ることができず、別途申請手続きが必要になる、というケースが考えられます。
☆2016年6月24日に、国民投票の結果を受けて、イギリスのEU離脱による影響をまとめました。
こちらの記事もぜひご覧ください。
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