【在庫管理】海上輸送と航空輸送の使い方

日本とヨーロッパは、海上輸送では洋上だけで1ヶ月かかり、また発地のカットから配達まで考えますと、最短で6、7週間程かかります。更に、ヨーロッパから日本に発注し、日本に在庫がある場合でも、必要な分を取り出して、輸送の梱包を行って、インボイスとパッキングリスト等の輸出書類を作成して、FCL(コンテナ一本)で実際に出荷するまで何週間もかかります。結局のところ、発注からヨーロッパの倉庫に到着するまでに最速で2ヶ月、通常は3ヶ月程かかる、という計算になります。LCL(海上輸送の混載)で出荷をしている場合は、少量での出荷が可能なため、活用されている企業も多いと思いますが、LCLは、FCLと比べて混載業者が介する分、発地側と着地側で日数が余分にかかるため、2ヶ月程度という計算になるかと思います。

ということは、何らかの理由でヨーロッパに在庫が足りなければ、日本に在庫があったとしても2,3ヶ月は待たなければいけません。日本やアジアと貿易をするヨーロッパの日系企業にとって、日本からアジアへの輸送と日本からヨーロッパへの輸送では、あまりにも納期に差があります。そこで、当然ながらヨーロッパでの在庫管理の精度が非常に重要になってくるわけですが、日本の製造業は技術者が中心となっているケースが多く、サプライチェーンという視点が疎かになっていることから、在庫管理が難しくなっているケースが多いように思います。

このような管理の問題は、多くの日系企業にとって頭痛の種で、それにより航空輸送の利用を余儀なくされているケースが多くあります。このような管理の問題は、本腰を入れることである程度は改善が見込めます。

ここでは、少し視点を変えて、在庫管理という点から、航空輸送と海上輸送の使い分けを見たいと思います。製品の種類や大きさや価格、また販売先の種類(業者か個人か等)にもよりますので、一概には言えませんが、一般論として、検討する際の参考にして頂けたらと思います。ポイントは、売れるものは船で、売れないものは飛行機で、です。

Fast moving goods(よく売れる製品)は、出来る限り航空輸送にはしない、という視点を持つことが大切です。よく売れるものが、在庫にないことは様々な理由があります。極端な流行、在庫管理の問題、品質の問題、製造の問題、輸送の問題等ですが、営業部署は、取引先からクレームも入り、社内はパニックに陥っているはずです。それにより、航空輸送を使う決定がされるのですが、その時に一番使われる理由は、機会損失、という言葉です。しかし、日系企業の製品を購入する取引先は、在庫があるからだけが理由で、付き合っているのでしょうか。ヨーロッパの取引先としても、サプライヤーを切り替えるのは大変な労力のいる仕事で、切り替えて上手くいく保証はどこにもありませんし、初めての取引の場合は、支払いを1ヶ月も待ってはくれません。そのようなリスクを冒すのは余程のことで、それを察知するのが営業の仕事です。もちろん一言で結論づけることはできませんが、ヨーロッパの営業の方々、言葉巧みに巻き込んできますが、クレームをする顧客にしっかりと対応するのも営業の大事な仕事、と割り切ることも重要です。

Slow moving goods (あまり売れない製品)  を航空輸送にする、というものです。滅多に売れないものを売り続けるには理由があります。それは例えば、得意先の要望等の営業理由によるものが多いのですが、売れないものということは、(おそらく)利益を出しているわけではありません。つまり、お付き合いとして販売していて、いつ売れるか分からない製品を、滞留在庫として保管している、という状況です。しかし、売れるまでに、モデルチェンジがあったりと、不良在庫として処理されるかもしれません。従いまして、こういう製品は、在庫を持たず、得意先からオーダーが入れば、その時点で航空輸送として発注すればいいのです。

もちろん、キャッシュの潤沢な大企業や、航空輸送でしか輸送しないような高価な製品を扱っている企業には当てはまりませんが、特に小規模の企業の場合、流行のモノやその季節でしか売れないものを大量に航空輸送で運ぶのは、できるだけ避けましょう。船で輸送することを強くお勧め致します。単純計算ですが、4トンの製品を航空輸送すれば、航空運賃のみで100万円の利益が吹っ飛んでしまいますので。

 

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