
貿易をしていて、安い物流会社に業者変更したと思ったら、
コンサイニーから高くなったとクレームを受けたことはないでしょうか。
その理由の一つは、ハンドオーバー料金に関係しているかもしれません。
日本では一般的に、ハンドオーバー料金というものがかかりませんので、
特に意識をされたことがないように思います。
ただ、アメリカやヨーロッパでは事情が異なります。
下手をすれば、輸入通関 + 配達料金よりも高くなる場合があります。
まず、そもそも物流業界における、ハンドオーバーとは何者なのでしょうか。
一言で言いますと、
指定の物流会社に取り扱いの権限を引き渡す(Hand Over)
ことです。
ん?なんかよく分からない?
このハンドオーバーというのは、ちょっと複雑なので、例を用いてお話します。
あなたは日本の貿易会社(A社)で働いていて、オランダの会社(B社、輸入者、コンサイニー)から注文が入りました。
インコタームズ(Incoterms)はCIF としましょう。
CIFということは、あなたの会社(A社、輸出者, Shipper)は、国際輸送会社(C社)に依頼し、
日本の倉庫から在庫を集荷し、輸出通関、オランダのAMS(アムステルダム)空港まで航空輸送を行いました。
AMS空港に到着後、国際輸送会社のオランダ現地代理店(D社)が、コンサイニー(B社)に連絡をとります。
輸入や配達先を確認するためですね。初めての場合は、取り扱うための契約書も必要になってきます。
ただ、B社には、長年使用し信頼している通関業者(E社)があり、今回もE社に輸入と配達をお願いしたいと思っていますので、
B社はD社に対し、コンサイニー指定の通関業者(E社)にコンタクトをとり、引き渡すよう依頼します。
それにより、D社からE社に対し、荷物と書類の引き渡し(ハンド オーバー)が行われます。
ただ、ポイントは次で、ハンドオーバーの際に、
オランダ現地会社(D社)はコンサイニー指定の通関業者(E社)にハンドオーバーチャージなる請求書を発行することになります。
航空輸送の場合は、重量に対して請求金額が設定されていることが多く、
物流会社により、そのタリフは異なっています。
この場合、D社のタリフに応じて、E社はD社に対して支払いを行わなければ、荷物と書類の引き渡しは完了しません。
D社としては、コンサイニー(B社)に対して、輸入通関、配達の手配を行いたいわけですが、
それが出来ない、ということになります。
E社はD社にとって、競合関係にありますので、値下げをすることもありません。
E社は、ハンドオーバー料金を、輸入通関料金や、配達料金とは別に、コンサイニー(B社)に請求することになります。
つまり、B社としては、ハンドオーバー料金分が、そのまま高くなる、ということになるわけです。
ハンドオーバー料金は、安いものではありません。
場合によっては、輸入通関や配達料金よりも高い場合もありますので、要注意です。
これは、料金設定はそれぞれですが、
航空輸送だけでなく、LCLやFCLでも発生する可能性があります。
いくらCIFで物流会社選定の権限があったとしても、
国際輸送会社を変更する場合には、輸入者としっかりと相談されることをお勧め致します。
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