EUとビジネスと国家

来月にイギリスでのEUに残留するかどうかの国民投票が行われます。

結果如何によっては、ヨーロッパでビジネスを行っている企業にとって、大きな戦略変更や損害になり得る、重要なニュースになります。その話は別途こちらをご覧ください。

 

私もそうでしたが、日本人としては、このEUという概念は非常に分かりづらいものですね。何故か、日本の海の向こう(海外)は、全て外国ですので、物理的に日本と外国が分けられており、外国に行くときには必ず飛行機に乗りますね。海外旅行と聞いて、飛行機を連想される方も多いのではないでしょうか。

ビジネスでも同じです。日本には取引の概念は二つしかありません。

1,日本国内の取引(輸送)

2,日本と日本国外の取引(貿易)

 

1も2も取引ですが、2の場合は、貿易という言い方をしますし、日本から日本国外に出すのは輸出、日本国内に入れるのを輸入、という言い方もしますね。

 

ただ、ヨーロッパには、もう一つの貿易があります。それが

EU域内取引(輸送)

といわれる新しい取引概念です。

 

EU域内取引を話す前に、私がいるのはオランダで、オランダから西に行くとベルギーですが、その際に、飛行機に乗ったことがありません。

オランダからベルギーに入る国境には、下の写真のように標識があるだけです。

border

 

人もモノも自由に移動できるようにしたのが、EUの基本理念ですが、ビジネスに付きまとうのは、税務、VAT申告ですね。人やモノを自由に動かすことができても、経理処理は”どうぞご自由に”というわけにはいきません。

先ほどの日本のように、今度はEUの一カ国(オランダ)を例にまとめますと、

1, オランダ国内取引

2, オランダとオランダ以外のEU加盟国とのEU域内取引

3,オランダとEU加盟国以外の国 との取引(貿易)

 

となり、2が追加されることになります。

1,3は日本と同じ考え方ですので、特に説明は不要ですね。

 

2は、intra-Community supplyという言い方をし、日本語訳として域内取引となっています。

従いまして、オランダの企業は、ベルギーに輸出(Export)している、あるいはベルギーから輸入(Import)している、という言い方はしません。

 

何故、2と3を分けるのでしょうか????

EUは国ではなく、集合体です。(笑)

オランダは、オランダとしての独立国家ですし、ベルギーも同じです。ドイツも、フランスも、それぞれ主権を持った独立国なんです。

EUの大まかなルールを基準として、それぞれの国が細かなルールを作ることができるようになっています。例えば、VATはEU加盟国は15%以上でなければいけないというルールがあり、各国が税率を設定することができます。

因みに、2015年5月末現在の標準税率は、オランダやベルギーは21%、スウェーデンは25%で、ルクセンブルグは15%とバラバラですね。一方、EUに加盟していないヨーロッパの国、例えばスイスは8%です。つまり、独立国家として、それぞれが政府や議会を持っているわけですから、オランダ政府としては、オランダとベルギーの間でどういう取引が行われているか、を知りたいですよね?

オランダとベルギーの取引内容が、各政府は分からないの?

その前に。。。

オランダと日本では、例えばチューリップの球根が日本に多く輸出されていますが、これは、外国貿易として各国の税関を通りますので、オランダ税関のデータ、日本税関のデータに入ります。

一方で、オランダとベルギーは、輸出入ではなくなったというのは前にも説明しましたが、これは、税関を通らない、つまり、データとして蓄積されない、という問題がでるわけです。

オランダ国として、どれだけの球根が日本に輸出されているのかはわかっても、ベルギーへはどれだけの球根が売られているのかが分からない、というのは、国家として経済戦略を考える上で、問題になりますよね?

ということで出来たのが、Intrastat(イントラスタット)という 申告義務です。

イントラスタットは必ず提出が必要はありませんが、ある一定以上の規模になれば、申告する義務があります。

また、VAT申告という面でも、域内取引によるReverse Charge等、多くのルールがありますので、その原点となっている、EUの取引概念を理解して頂くことが、更なる理解に繋がりますね。

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